ボテロ博物館では、フェルナンド・ボテロ以外の有名な画家ピカソ、ルノアール、モネなどの作品も数多く飾られていることで有名です。それだけ有名画家との交流があり、大きな成功を海外で収めたフェルナンド・ボテロさん。
今でも、80歳を超えていますが存命です。そんな彼は、芸術家、かつ彫刻家でもあります。彼の作風は、物や人物を大きく誇張して描きます。太り気味のモナ・リザの絵は、ボテロ作品としてかなり有名です。
それでは、何故彼は物や人を大きく描く必要があったのでしょうか?ボテロ博物館に飾られているボテロの作品を通して、彼が私たちに伝えたかったメッセージを紐解いて行きたいと思います。それでは、一緒に見て行きましょう!
フェルナンド・ボテロの経歴
フェルナンド・ボテロは、コロンビアの第二の都市メデジン出身です。現在でも、1年に1か月は故郷のメデジンに滞在するんだとか!20歳で国立芸術家サロン内で第2位、26歳で第1位を獲得し、29歳でニューヨークの現代美術館に彼の絵は売却されました。
ボテロは、ボゴタにある『コロンビア国立大学』の卒業生です。実は、ひもくみの夫カミーロと一緒の大学です(笑)そんなコロンビア国立大学にも、私たち夫婦は足を運んでいるので、良ければ覗いてみて下さい!
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コロンビア国立大学の学校内やコロンビアの大学生(若者)の将来など、赤裸々に書いております。コロンビアの治安やドラッグ事情にも触れているので、気になる方はぜひ読んでみて下さい!
さらに、ボテロの経歴を知りたい方は、なんとボテロ博物館ではなく『コロンビア国立博物館』で知ることが出来ます。
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意外と知られていないコロンビアの穴場観光スポットです。コロンビア国立博物館(Museo Nacional de Colombia)には、ボテロ作品もあります!
良ければ、こちらの記事もぜひ読んでみて下さい。そんなボテロさんの私生活を少し説明すると、二度離婚をしており、現在はギリシャ人のアーティストの女性と結婚し、パリで暮らしています。
そんな2人目の奥さんとの生活の時に、スペインの交通事故により息子を一人亡くしております。結構、波乱万丈な人生ですよね。。。この息子の死により、ボテロ作品には幼い子供の絵が頻繁に現れるようになりました。
悲しい過去とは裏腹に、ボテロはコロンビアを代表する最も成功した芸術家の一人です。ボテロ関連の場所に行くと、彼がいかにコロンビアの芸術に貢献し、お金持ちであるかが分かります。
例えば、有名な芸術家たちとの繋がりであったり、ボテロ作品の銅像がボゴタやメデジンの至る所に飾られてあったり、コロンビアの各都市への寄付金が半端なかったり。あまり表立っていませんが、相当コロンビアに貢献していると感じます。
ボゴタへの貢献で最も力を入れたのが、ここ『ボゴタ博物館』でしょう。
ボテロ博物館の行き方や料金
それでは、コロンビアの首都ボゴタにある『ボテロ博物館』までは、どのようにして行けば良いのでしょうか?ボテロ博物館は、黄金博物館やロサリオ大学の近くにあります。
コロンビアでポピュラーなトランスミレニオ を利用して行くのも良いですが、タクシーだと的確かもしれませんね。コロンビアのタクシーは、日本のタクシーと比べて高くありません。片道、大体3,500~9,000ペソ(日本円だと、150~300円ほど)で乗る事が出来ます。
しかし、注意なのがぼったくるタクシー運転手もいるので、値段交渉出来るくらいのスペイン語力があれば、タクシーで行く事をおすすめします。
ボテロ博物館の入場料は、なんと無料(タダ)です!
ボテロ博物館の有名な絵画作品
2000年、ボテロは『ボテロ博物館』に寄贈しました。作品123点、シャガール、ピカソ、ロバート・ラウシェンバーグなどのフランスの印象派の作品を含む85点を寄贈しました。
彼はメデジンのアンティオキア博物館にも、119点を寄贈しています。アンティオキア博物館の正面には、23の青銅の彫刻(これも、ボテロによる寄付)は、ボテロのプラザとして人々に愛されています。
(Wikipediaを参考)
さて、ボテロ博物館には一体ボテロのどんな作品が飾られているのでしょうか?代表的かつユニークな作品をご紹介したいと思います!
ボテロ博物館には、このような女性の裸体の絵画が数多く展示されています。この女性の絵は、何か手紙を読んで少しショックな表情を浮かべていますね。何かあったのでしょうか?
また、女性の裸体の他にも男女ともに大きなお尻が特徴的です。実際に、コロンビアではこれくらい大きなお尻を持つ太った女性をたまに見かけます。
ボテロにかかれば、お年寄りであってもキャラクターみたいな可愛らしさを演出できます。可愛いおばあちゃまですね♡
ボテロの作品には、意外にも宗教画(キリスト教)も多く、この作品の女性もしっかりと十字架のネックレスを握りしめています。コロンビアでは、圧倒的にキリスト教信仰の人が多いので、ボテロもキリスト教徒なのでしょうね。
ボテロは後期の作品になるにつれて、家族をモチーフにした作品が増えていきます。もしかしたら、亡くなった息子さんが影響しているかもしれませんし、彼の家族観を描きたかったのかもしれません。家族の絵画は、少し古いコロンビアの典型的な家族像です。
個人的に気になった作品です。そうなんです。よく見ると、女装をした男性なんです!あまりこういったボテロ作品を見かけないので、とても印象に残りました。みなさんも、ボテロ博物館に行った際には、ぜひこの女装作品を見つけてみて下さいね!
最後は、男女の彫刻です。こういった彫刻は、ボテロの出身地、メデジンで多く見かけるかもしれません。この男女の彫刻でも、女性の大きなお尻は印象的ですよね。一度見ると忘れられないのが、ボテロ作品の凄さだと思います。
ボテロ作品に込められた意味
何で、ボテロの作品はふっくらとした人物が多いの?
そう疑問に思う方も、多いかと思います。なぜ彼は「太った」人々を描くのか?ボテロは、そのような質問にこう答えています。
「あるアーティストは、理由なしにある種の形態に惹きつけられます。直感的にポジションを取った後で、それを合理化したり、正当化しようとするのです。」
(Wikipediaより)
つまり、私たちは直感的に「良い」としているものは、後に合理化して正当化します。スリムであれ太っているのであれ、最初に惹きつけられた印象は、自分の中で正当化する。なので、太っていても、そればかり見ていると自分たちの中で「良い」ものと判断してしまう。そう、ボテロは語っているのではないでしょうか?
ボテロ以外でも、コロンビアの芸術家は国籍や人種、肌の色や障害など気にせず皆同じ人間なんだ。そう訴えかける現代アートが数多くあります。それは、コロンビアには混血が多く、今まで様々な人々を受け入れて来た背景があるからだと思います。
もしフェルナンド・ボテロにも、そのようなコロンビア思想があるのであれば、人類愛や平等を作品の中で表現しているのかもしれませんね。
また、彼はコロンビアで年間1ヶ月しか過ごしていませんが、世界のアーティスト達との差別化の為に、自らを「生きるコロンビアのアーティスト」と考えているそうです。モナ・リザを太らせて描くのは、ボテロくらいなのではないでしょうか?
彼のユニークな表現方法が高く評価されたのは、ボテロが「コロンビア」出身という珍しい国からのアーティストだった、という事もありそうですね。
ちなみに、コロンビア国立博物館は、どちらかと言えば政治的な要素の強い博物館でもあるので、ボテロは薬物カルテルからの暴力を扱ったジャンルの絵画を寄贈しています。
いかがでしたでしょうか?
なかなかフェルナンド・ボテロについて語っている記事は無かったので書いてみました。彼の作品をただ眺めているだけでは面白味も何もありませんが、ボテロ自身の人生や作品の背景に焦点を当てれば、なかなか奥が深いなぁ、と思いました。
ボテロ博物館の近くには、貨幣博物館などのいくつかの博物館が密集しており、コロンビアの現代アートや歴史を楽しむことが出来ます。そんな有名なボテロを含めたアーティストの作品が楽しめるコロンビアのボゴタに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
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