どの輸送方法を選ぶとしても、自分の貨物の中身が壊れないように荷主がきちんと梱包することが重要になってきます。もし貨物が壊れてしまい保険を使用するとき荷主の梱包がちゃんとしていたのか、輸送業者の輸送がいけなかったのか調べることになります。梱包して出荷する前にきちんと写真で荷姿を管理しておくことが良いでしょう。
段ボール(カートン)
一般的な段ボールのこと、厚紙の箱のことを言います。シングルカートンでは弱すぎるので、カートンの上からもう一つ大きい段ボールを包装してダブルカートンとして出した方が良いでしょう。
トライウォール(強化段ボール)
見た目は段ボールそっくりですが、イメージとして段ボールが何層かになっているものです。およそ150Kgから1tまでの重量物を包装する力があります。軽いのでコスト削減にもなります。
(重量物段ボールの世界ブランド「トライウォール」がグループの一員になりましたより)
(重量物段ボールの世界ブランド「トライウォール」がグループの一員になりましたより)
パレット
ダンボールなどで個装された貨物をパレットに積み付けるもの。木製パレット、プラスチックパレット、段ボール(紙パレ)パレット等あります。段ボールだけで出荷すると投げられてしまうので、パレットをつけることで安全度が増します。
ここで豆知識です!紙パレにすると切ることができるので、必要のないスペースを減らすことができます。そうすると容積が小さくなるので価格も抑えらるので良いですよね!ですが、お願いしても切ってもらえないこともあるので注意しましょう。
(輸出梱包の種類(梱包・包装設計)より)
(梱包より)
スキット
木箱などのように周囲を覆わず、腰下(Skid)に製品を固定しただけの梱包方法です。梱包や箱詰めする必要がないときはスキットにするとコストを抑えることができます。しかし、ダメージを受ける可能性が高いので細心の注意が必要です。梱包後にコンテナに積みます。
(小幡梱包製作所 より)
密閉木箱(ケース梱包)
輸出梱包の定番です。段ボールでは梱包できない物や、壊れやすい物を木箱に入れて梱包します。主に産業機械や工作機械、機械設備によく使用されます。雨、ホコリなどのダメージからも守ることができます。
(輸出梱包の種類(梱包・包装設計)より)
すかし木箱(クレート梱包)
名前の通り外から中身が見える状態で板の隙間が開いている木枠による梱包方法です。貨物が防水を必要としない物に使用できます。密閉木箱よりもコストを抑えることができます。
(輸出梱包の種類(梱包・包装設計)より)
スチール梱包
木箱に変わって最近多く使われている梱包です。木材の梱包にすると規制が厳しいので検疫処理をしなくてよい鋼材が注目されています。容積を小さくすることもできるのでコスト削減することが可能です。
(スチール梱包より)
バリア梱包
中身の製品の錆を防ぐための梱包です。木材の湿気や外気の影響からシャットアウトするため、真空で密閉する内装梱包です。バリア梱包をした後に、木箱梱包やトライオール梱包、スチール梱包などの外装の梱包をします。精密機械向けの梱包方法です。ちなみに真空にするのは別途お願いをします。
(バリア梱包より)
このほかにもいろいろな梱包の仕方があります。輸出する際に特に大事な貨物の場合は、一度梱包会社やフォワーダーに相談して決めるのが良いでしょう。質問すれば丁寧に説明してくれるので、遠慮せずに聞くことをオススメします。
木材梱包の注意点
普段は馴染みのない木材梱包ですが、頑丈にすることができるので重宝される梱包方法です。しかし、木材ですと注意しなければならない点があります!使用する木材は承認された物ですか?
1.規制の根拠
生きている木又は枯れた木に由来する木材は、有害動植物に寄生されている場合がある。木材こん包材は有害動植物を除去又は死滅させるための十分な加工又は処理が施されていない可能性のある生材でしばしば作られ、そのため、検疫有害動植物の侵入及びまん延の経路となる。特にダンネージは、検疫有害動植物の侵入及びまん延のリスクの高いことが示されている。さらに、木材こん包材は再利用、修理、又は再製造されることが非常に多い。木材こん包材のある部分についての本来の原産地を突き止めることは困難であり、そのため、植物検疫上のステータスを容易には確定できない。したがって、措置が必要かどうか、及びその強さを決定するために実施する病害虫リスクアナリスの通常プロセスは、木材こん包材においては不可能なことが多い。この理由から、本基準は、木材こん包材に関連する可能性のあるほとんどの検疫有害動植物の侵入及びまん延のリスクを有意に低減する目的で、木材こん包材に対してすべての国によって適用できる国際的に認められた措置について記述するものである。
(国際貿易における木材こん包材の規制より引用)
先ほど紹介した梱包の種類にあった、クレート、木箱、パレットも対象です。ダンネージとはショアリング(コンテナの中で貨物が動かないように固定すること)するときに使われるものです。とにかく規制される対象のものはあらゆる携帯の木材こん包材すべてです。規定から免除される物もありますが、すべて覚えていて損はないと思います。
木材こん包材が植物検疫処理を受理を受けたことを示すマークがついています。マークがついていない物は認められません。マークには、シンボル、国コード、生産者/処理実施者コード、処理コードが入っています。(HTまたはMB)。
処理表示はこのようなマークです↓
輸出する時はフォワーダーさんにお願いして梱包してもらうので大丈夫だと思いますが、輸入するときは相手が承認された物を使用しているか確認しておきましょう。処理表示がない場合は検疫になります。
検疫有害動植物が発見された場合には、規則の不遵守に該当するので、国内法に従い、荷主の選択により、殺虫処理、焼却又は返送されることになります。せっかく日本に着いたのに返送になったら費用も時間ももったいないです。気をつけましょう。
また、木製のものを使用すると、製品を受け取り後に木製梱包材は廃棄しなければなりません。輸入した後に残しておいて次回の輸出の時に使用するのなら良いと思いますが、場所をとります。フォワーダーにお願いして廃棄してもらうのが簡単でしょう。(料金が掛かります。)
参考:梱包の種類ー旭梱包株式会社、輸出梱包の種類|(株)新開トランスポートシステムズ、木材梱包材の燻蒸処理、スチール梱包-株式会社ニホンパッケージ、国際貿易における木材こん包材の規制、植物防疫所ホームページ
このような話を書くことは本当に恥ずかしいのですが、失敗談を紹介します。
30kgほどの機械をクーリエ(ドアツードアのサービス)を使ってシングルカートンで輸出した時に機械のデリケートな部分が曲がってしまう事故が起きてしまいました。梱包をした人は、国内では普通の段ボールで大丈夫なので「大丈夫」と思ったと言いました。しかし、国内の宅急便と違ってなかなか丁寧に扱ってもらえないのが現実です。
さらに、「割れ物注意シールを貼れば大丈夫である」と担当した人は言いました。しかし、忙しい現場では割れ物注意シールを見たから丁寧に扱うことはまずないと考えた方が良いです。
飛行機で旅行する時にスーツケースを預けますよね。よくボコボコになってしまうという話を聞きます。積み卸しをする際に投げられてしまうからです。また、スーツケースを受け取るターンテーブルでも、上からコンベアへそのまま落ちていきますよね。
それと同じことが貨物でも行われると覚えておけば、シングルカートンは良くない手段と思えるはずです。壊れてしまった機械は売り物になりませんから、代わりの機械を送ることになりました。
つまり運送費がまた掛かってしまったのです。そして壊れてしまった商品を修理する必要がでてきてしまいました。修理費も掛かってしまいます。もしきちんと梱包をしていたらこのような事故は起こりませんでした。
ちなみに、運送中の事故だから運送業者の責任だ!と感じるかもしれません。しかし、保険会社の検査が入ったときに売主の梱包が甘いと保険料は支払われません。当然、輸送業者もどのような状態か写真や書面でどのような状況だったかを管理しています。ボロボロの段ボールを使っていると、記録に残しますね。
「サインしてください。」と言われたりします。(もちろん自分で梱包したときも写真で保存しておきましょう)梱包業者にしてもらった時に写真を送ってもらえなければ、「ください。」とお願いしましょう。
梱包費が高くつくからとけちってしまうと事故が起きてしまい、さらに費用が掛かる事態が起こってしまいます。気をつけましょう!
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