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スンナとは?イスラム教におけるスンナとハディースの違い

スンナとは?スンナとハディースの違いやクルアーンとの関係性

「イスラームの中で、クルアーンとスンナ両方とも学ばないといけない。」

と聞いた事があります。その聖典とされるクルアーンに並ぶ程のスンナ。一体、スンナとは何なの?という話ですよね。また、スンナ以外にも「ハディース」と呼ばれるものもあります。

スンナ?ハディース?とちょっと混乱しそうですが、この2つは深い関わりがあります。その違いとは一体何なのか?それでは、一緒に「スンナ」と「ハディース」について詳細に見て行きましょう!

スンナとは?

スンナとは、「預言者ムハンマドの慣習」の事を言います。また、クルアーンの意味の明確化と説明の役割も担っています。クルアーンは、簡単に言うと神からの教えです。イスラームでは、アッラー(神)からの啓典だけでなく、預言者ムハンマドの行動や振る舞いも重視しています。

使徒に従う者は、まさにアッラーに従う者である。誰でも背き去る者のために、われはあなたを見張り人として遣わしたものではない。

(婦人章第4章第80節)

アッラーの命令にはどういう意味があり、どう実践するのか?イスラム教徒たちが最初に頼るべき源が、この「預言者ムハンマドの行動と言葉」なのです。

言ってやるがいい。「あなたがもしアッラーを敬愛するならば、私に従え。そうすればアッラーもあなたがたを愛でられ、あなたがたの罪を赦される。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。」

(イムラーン家章第3章第31節)

イスラム教徒の事をムスリムとも言いますが、そのムスリムの中でも、クルアーンとスンナを実践しているかどうかで信仰心の強さを見る事が出来ます。スンナは宗教的義務はありませんが、預言者ムハンマドへの愛情や敬意の表れとして実践される事が望ましいとされています。なので、クルアーンと並ぶほどに、スンナはイスラム教徒たちにとって重要なのです。

スンナの2つの種類の違い

また、スンナには2種類の違いがあります。

  • 行動・言葉によるスンナ(スンナティ・フダー)
  • 預言者ムハンマドの信仰やイバーダート(崇拝行為)、人徳などがあり、宗教的な決まりを解釈し完成させる為の行動や言葉。預言者ムハンマドが何らかの事柄について言及し(行動)、教友達が目撃し伝承(言葉)したもの。

  • 黙認のスンナ(スンナティ・ザワーイド)
  • 預言者ムハンマドの御前で教友達が語った言葉、もしくは取った行動のうち、預言者ムハンマドが否定されなかった事柄、あるいは同意され良い反応を示されたもの。例えば、日常生活における食事の習慣も、これに当てはまる。

スンナとクルアーンの重要性

イスラームにおいて、「知性」を持っての信仰はとても重要とされています。なので、知性が伴っていない場合は、責任を負っているとはされず、命令や禁止事項に従う必要もありません。

何故、イスラムでは飲酒や麻薬などを禁止しているのか?

その答えは、この知性の働きを阻害するものだからなんですね。その知性に重きを置く必要性は、クルアーンでも述べられています。

われは、あなたがたへの訓戒として啓典を啓示したのである。それでもあなたがたは悟らないのか。

(預言者章第21章第10節)

一方、知性を働かせなかったり、物事を深く考えない人たちを、こう非難しています。

ああ、情けないことです。あなたがたも、あなたがたがアッラーを差し置いて崇拝するものたちも。あなたがたは、なお悟らないのですか。」

(預言者章第21章第67節)

なので、本来イスラームでは知性を追求する為に勉強することを良しとされています。実際に、私の周りのイスラム教徒の友達もモスクでイスラムをクルアーンやスンナを用いて勉強したり、友達の家に集まって勉強会を開いたりしています。

また、預言者ムハンマドもこう言ています。

「知識の追求は全ムスリムにとっての義務である。」

(イブン・マージャの伝承)

現在はコロンビアに住んでいますが、コロンビアのモスクでも金曜日の礼拝後に男女集まって、勉強会を行っています。内容はスペイン語なので、まだスペイン語勉強中のひもくみにとっては理解するのが難しいですが(笑)

このように、世界中のムスリム(イスラム教徒の事を言う)にとって、イスラムの知識の追求というのは重要であり、義務なのです。 イスラームを勉強する上で参考とされるのが、クルアーンでありスンナです。

スンナとクルアーンの解釈方法

よくイスラーム関係の本だと、クルアーン預言者ムハンマドのスンナからの典拠を引用したり元にして、イスラームの重要性について書いていたりします。しかし、現代社会で起こる問題をクルアーンとスンナによって吟味されますが、その答えが見つからない場合もあります。その場合は、イスラーム学者がクルアーンの句とスンナの一般的意味を確認します。

また、以下のような法学的原理を研究しつつ行われます。

  1. イスラームにおいて全ての物事は、それが非合法であるという一般的あるいは特定の典拠が存在しない限り合法です。
  2. 社会の共益と福利の保護。
  3. イスラームは易しい教えであり、不必要な困難があればそれを免除します。
  4. 害することも害されることも回避されなければなりません。
  5. 悪事を、それが広がる手段を封じることで押しとどめます。
  6. 切迫した必要があれば、非合法な物事は合法化されます。
  7. 切迫した必要があれば、その状況に応じて非合法性を合法化します。
  8. 害悪の回避は、福利の成就よりも優先されます。
  9. もし悪い選択しかないような場合は、よりましな方を選択します。
  10. 害悪は同様の害悪でもって回避したりしません。
  11. 特定の害悪は、一般的害悪を回避するためにその回避を保留したりしません。

他にも、似たような様々な法的原理があります。

クルアーやスンナは、あらゆる改ざんや偽造から保護されて来ました。また、スンナに関して、学者たちが本当に預言者ムハンマドの伝承が、彼から伝えられたものかどうかを検証しています。さらに、伝承の中に登場する各伝承者のこともきちんと調査しており、彼らが十分な敬虔さと信頼性があるかどうかも研究されています。

スンナとハディースの違い

ここまで、スンナについて詳しく分かりましたか?ここからは、スンナとハディースの違いについてです。簡単に言いますと、スンナとハディースに違いはありません。つまり、ハディースとはスンナであり、スンナをまとめたのがハディース(預言者ムハンマドの言行録)なのです。

ハディースの具体的な一例

ハディースの中には、こんなお話があります。

ある日、マフズーミー部族(最も高貴な血統であるクライシュ族の支族)出身の女性が、盗みを犯しました。人々は、その盗みに対してこう言いました。

「一体誰がアッラーの使徒に話して(彼女に対する窃盗の刑罰の免除について)執り成すのだ?アッラーの使徒の寵愛するウサーマしか、それが出来る者はいないではないか?」

そして彼(ウサーマ・ブン・ザイド)がその女性の刑罰を免除してもらおうとして預言者ムハンマドに話すと、彼はこう言いました。

アッラーの刑罰において執り成そうというのか?

そして預言者は立ち上がると、説教してこう言いました。

「人々よ!あなた方以前の者たちは、高貴な者が盗みを犯せば放免し、弱者が盗みを犯せば刑を執行する、などということをしていたために滅亡したのだ。アッラーに誓って。もしムハンマドの娘ファーティマが盗みを犯すようなことがあれば、ムハンマドは彼女の手を切るぞ。」

(ムスリムの伝承)

このハディースは、いかに富める人も貧しい人も平等であるかを説明しています。イスラームは、国籍や肌の色、人種など関係なく全員が平等です。クルアーンとは違い、基本的にハディースはこのようなお話の中で人々に諭す場面が多くあります

ハディースとクルアーンの重要性

クルアーンは抽象的ですが、ハディースはかなり具体的です。ハディースは、預言者ムハンマドの時代のお話の中で、預言者自ら取った行動や発した言葉がほとんど使われます。なので、当時の社会的・歴史的背景が分かっていないと解釈しづらい場面もいくつもあるのです。

「ハディースを、現代社会でも適応させるべきだ!」と、預言者ムハンマドのスンナをそのまま実行しようとする方たちをたまに見かけますが、全てのハディースを実行する事は難しいと感じています。それこそ、イスラーム法学者やイマームの解釈が必要でしょう。

抽象的なハディースであれば実践しやすいのですが、その当時の歴史的背景を理解しないまま実行しようとすると、誤解を生む可能性があります。もちろん、クルアーンにもそのような歴史的背景を知っておかなければ意味不明な句も多くあります。なので、クルアーンとハディース両方を交互に読み比べながら、イスラームの意味を解釈していくのが一番望ましいでしょう。

預言者ムハンマドの伝承集

預言者ムハンマドの有名な一部の伝承集です。例えば、イスラム関係の本を読んでいてよく見るハディースであったり、ムスリムたちの間で信じられているハディースなど。その他にも、ひもくみ自身が共感できるハディースをまとめてみました。

  1. 人の行為は、その動機によって善悪が決まる。
  2. 動機って、大事ですよね。動機が固まっていない状態で行動する人もいますが、この動機を深く考える事を、私は大事にしています。

  3. 親から子への最高の贈り物は、教育である。
  4. これは、本当にそう思います。親が教育を重要視しているかいないかで、その子供の人生も左右されます。もちろん、教育意識が高くない親の元で育った子供が、有名大学に行く事もあります。ですが、そういうケースは稀でしょう。

  5. アッラーの御喜びは両親の喜びにあり、アッラーの御怒りは両親の怒りの中にある。
  6. よく、ムスリムの人達が信じているフレーズです。なので、両親の言った事を守ろうとするムスリムは大勢います。

  7. 幼い者を愛さず、年長者を尊敬しない者は、私たちの仲間ではない。
  8. イスラム関係の本でよく見ます。老若男女問わず、尊敬と愛情で接していかなければなりませんね。

  9. 信者の中でもっとも信仰のあつい者は、礼儀作法がもっとも正しく、自分の妻をもっとも良く扱う者である。
  10. イスラム関係の本でよく見かけます。男尊女卑と捉えられがちなイスラムの男女関係の固定概念を払拭するのに、よく使われるフレーズです。

  11. アッラーに許されているものの中で、最も良くない事は離婚である。
  12. イスラム関係の本でよく見かけます。そうは言っても、離婚するムスリムたちはいますし、離婚後の対処法についてクルアーンでも述べられています。

  13. アッラーの手によってのみ、私の命はある。自分を愛するのと同じように兄弟を愛さなければならない。さもなくばイスラームの信者ではない。
  14. イスラム関係の本でも見ますし、ムスリムたちにとっての信条でもあります。基本的に、イスラム教徒たちは自分の同胞には優しいのです。

  15. ムスリムとして真実の証明は、自分の関係のないことに余計な関心を払わないことである。
  16. 言葉で直接聞いた事はありませんが、このスンナを実践しているムスリムが多いように思います。

  17. まことにアッラーは純粋であられ、また純粋な者を愛される。アッラーは慈悲深くあられ、慈悲深い者を愛される。
  18. イスラム関係の本でも見ますし、ムスリムたちも純粋な人たちを好みます。純粋で正直であるかは、イスラームにおいても重要なのです。

  19. アッラーは寛容な御方であり、寛容な者を愛される。
  20. 寛容さは、どのムスリムの人達も意識しているのではないでしょうか?このスンナがあるからかは分かりませんが、基本的にムスリムは他人に寛容です。

  21. まことに謙譲と信仰は共にある。一方が失われれば、他方も失われていく。
  22. ムスリムたちが意識はしているけれど、なかなか難しいスンナかもしれません。信仰深いムスリムは、出来ています。よく日本人が謙譲を使うので、「何故、日本人はイスラム教徒でないんだ?」と言われる由縁ですね。

  23. 一人でいることは、悪い友を持つよりは善い。良い友を持つことは、孤独より善い。正しい事を行なうことは、沈黙よりも善い。悪事を行なうよりは、沈黙を守る方が善い。
  24. つまり、善行をする以外は余計な事をするな、ですね。

  25. 善行を説く者は、それを実践する者と同じ立場にある。
  26. まさしく、イマームたちですね。

  27. 宗教はすべての暴力に対する抑制である。ムスリムは決して暴力をふるってはならない。アッラーが最初に創造されたものは知性である。
  28. 今回のお話に繋がりましたね。知性の追求の為に、クルアーンとスンナ(ハディース)は必要不可欠なのです。


意外とスンナやハディースをよく知らない人も多かったのではないでしょうか?スンナも、イスラームでは重要です。日常生活の中で、スンナがイスラームを実践する手助けになればと思います。

参照:『イスラーム 正しい理解のために』/『イスラームのメッセージ』(アブドゥッラフマーン・アッ=シーハ著)

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