貿易を勉強する初心者必見!輸出に関する5つの法律知識

現在、誰でも簡単に輸出入をすることができます。しかし貿易をする上で知らなかったでは済まされない決まりがたくさんあります。輸出入をしたい、している人は私と一緒にチェックしてみましょう!今回のテーマは安全保障貿易管理についてです。経済産業省の資料は難しいので自分なりにかみ砕いてみました。

輸出入で気をつけなければならないこと

安全保障管理とは、

国際的な平和及び安全を維持するためのの手段の一つです。

日本だけではなく国際社会が一丸となって安全保障に取り組んでいます。テロリストから攻撃を受けないようにするための方策の一つです。

外為法とは?

輸出をするときの一番基本となる法律が外為法になります。規制に該当するものは輸出輸入をする前に経済産業大臣の許可や承認が必要となります。輸出する物や輸入する物は物だけではなく、お金、技術提供(人が教えるということ)も含みます。また特定の国、地域を原産地、船積地とする場合も申請の必要があります。

リスト規制

リスト規制品15項に当てはまる物の事前の輸出には許可が必要です。兵器そのものや兵器の開発に利用できる高い性能を持つ汎用品がリストアップされています。

輸出をするとき、物の内容が輸出貿易管理令別表第1の1~15項に当てはまるか、当てはまらないかをチェックする必要があります。

1 武器 鉄砲、軍用の細菌製剤、軍用探照灯等
2 原子力 核燃料物質、原子炉、人造黒鉛、直流電源装置等
3 化学兵器 毒性物質の原料、耐腐食性の熱交換機、弁、ポンプ、反応器、貯蔵容器等 ②生物兵器:細菌製剤の原料生物、クロスフロー濾過器、冷結乾燥器、密封式発酵槽等
4 ミサイル ロケット、無人航空機に使用できる集積回路、加速度計、振動試験装置等
5 先端材料 超電導材料、有機繊維、セラミック複合材料等
6 材料加工 数値制御工作機械、ロボット、測定装置等
7 エレクトロニクス 高電圧用コンデンサ、集積回路、半導体基板、周波数分析器等
8 コンピュータ 高性能電子計算機
9 通信関連 暗号装置、特殊な通信装置等
10 センサー、レーザー センサー用光ファイバー、光学機器、特殊カメラ等
11 航法関係 慣性航法装置、衛星航法システムからの電波受信装置等
12 海洋関連 潜水艇、水中用ロボット等
13 推進装置 ガスタービンエンジン、人工衛星、無人航空機等
14 その他 粉末状の金属燃料、電気制動シャッター等
15 機微品目 電波の吸収材、水中探知装置等

安全保障貿易管理ハンドブック(2017年第9版)より)

また、16項も実は重要となるので覚えておきましょう。

16.15項以外の雑品(木材、食料品など以外のもの)

ただし、16項に該当していても輸出する先が懸念国に入っていなければ許可は必要ありません。

どうでしたか?これは当然該当する!と思う物から、こんなものも該当するの?と驚くような物もあったと思います。もし、該当するかも?と少しでも思ったら、さらに細かい表があるのでチェックしましょう。

安全保障貿易管理
「貨物等マトリクス表」

非該当証明書

経済産業省がチェックリスト(該非判定書)を発行しているので、それを使ってメーカーの技術責任者が判定します。輸出する物のスペックが1~15項に該当していない場合は非該当証明書を提出することになります。もし、該当していたら事前に許可を申請しなければ輸出することができません。

例:輸出したい物は工作機械である。1-15項に対し確認したところ、仕様的に2項には該当しないが、5項と6項には該当する。

→2項については非該当証明書を作成する。

→5,6項は該当するので許可申請をして許可書を提出する。

非該当証明書の書き方が分からない時は、「非該当証明書について」をクリックすると経済産業省のホームページに行きますのでそちらのフォーマットを参考にして作りましょう。一応内容が記されたWord、PDFも貼り付けておきます。

非該当証明書
(参考様式PDF)
非該当証明書
(参考様式Word)

キャッチオール規制

リスト規制品に該当するもの以外(木材、食料品などを除く)の輸出でも、その用途や需要者に兵器の開発に関する懸念がある場合は規制が行われます。爆弾は作ろうと思えば電池など一般製品でも誰でも作ることができますよね。リスト規制に該当しなくても相手がどのような理由でその製品を使用するか、相手がどのような人なのかまで把握しておく必要があります。もしキャッチオール規制に該当する場合は輸出前に許可を得ることが必要になります。ただし、ホワイト国向けの輸出は対象外になります。ホワイト国は27カ国あります。アイルランド、アメリカ、アルゼンチン、イタリア、英国、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、韓国、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、ルクセンブルクになります。

下記について確認します。

  1. 日本から輸出されたものが最終的に大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使用されるおそれがあるか。
  2. 日本から輸出された物を受け取る者や最終的に使用する者が、大量破壊兵器の開発などを行っているか、または行ったか。

※Know規制:もし相手が悪いことをするために輸入したいということを知っていて輸出してしまった場合、共犯になります。化学製品、バルブは注意が必要です。

※インフォーム要件:経済産業省から許可を得るように言われていて知っていたのにも関わらず申請せずに輸出してしまうのもいけません。少しでも相手が悪いことをしそうな要素がある場合は必ず相談しましょう。許可をもらう必要があります。

※外国ユーザーリスト(懸念機関などのリスト)に掲載された機関向けの場合も特に注意が必要です。

技術提供について

気を付けたいのが技術提供についてです。規制対象になります。技術とは、設計、製造、使用に分類されます。外国の者に提供する場合や提供する技術の用途、需要者にキャッチオール規制における懸念が認められる場合は事前の許可が必要になります。外国の者だけでなく日本人同士のやり取り、日本国内でも最終的に外国に輸出するとわかっていたら事前の許可が必要になります。また、外国からの留学生の受け入れ(技術を教えてその人が母国に帰った際に誰かに教えたり、大量破壊兵器の開発に役立てる可能性もなくもない)や共同研究などの活動の中にも外為法の規制対象となるかもしれない技術のやり取りが多く含まれていることを忘れてはいけません。

安全保障貿易管理ハンドブック(2017年第9版)より)

輸出貿易管理令別表第2

さて、リスト規制とキャッチオール規制を見ていきましたが、これとはまた別にチェックしなければならないものが輸出貿易管理令別表第2です。別1(輸出貿易管理令別表第1を略してこのように業界では呼ぶそうです)はテロを防ぐためのモノです。別2は国際的にモノとして規制されるものです。社会情勢や環境保護等の目的です。

貨物番号
(輸出貿易管理令別表2の項番)
輸出承認品目名
1 ダイヤモンド原石
19 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第2条第1項に規定する血液製剤(原則輸出禁止)
20 核燃料物質、核原料物質
21 放射性廃棄物
21の2 放射性同位元素
21の3 麻薬、向精神薬原材料等
25 漁船
28 ふすま、米ぬか及び麦ぬか(H28.12.7 廃止)
29 配合飼料(H28.12.7 廃止)
30 しいたけ種菌(原則輸出禁止)
32 せん及びならの丸太(H28.12.7 廃止)
33 うなぎの稚魚
34 冷凍のあさり、はまぐり及びいがい
35 オゾン層を破壊する物質
35の2(1) 特定有害廃棄物
35の2(2) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する廃棄物
35の3 有害化学物質(ロッテルダム条約、ストックホルム条約関連)
35の4 水銀、水銀使用製品(水俣条約関係)
36 ワシントン条約対象貨物
37 希少野生動植物の個体・卵・器官
38 かすみ網
39 偽造、変造通貨等
40 反乱せん動書籍等
41 風俗を害する書籍等
43 国宝、重要文化財等
44 仕向国における特許権等を侵害すべき貨物(原産地を誤認させるべき貨物)
45 関税法第69条の12第1項に規定する認定手続が執られた貨物(育成者権侵害貨物、その他の権利侵害貨物)
その他 委託加工貿易

(輸出承認対象貨物一覧より引用)

また、経済産業省のリストをチェックするだけではなく、厚生労働省にも似たようなリストがある場合があります。例えば、21の3の麻薬、向精神薬原料等です。念のために確認しましょう。

知っておかなければならないこと

こんなにもたくさん貿易をするためにチェックしなければならないの?!?(^^;)と頭が痛くなりますよね。実はチェックしなくても簡単に輸出入をできてしまうのが貿易の怖いところです。簡単にできてしまいますが、何かがあったときに知らなかったで済まされないのがこの世界です。安全管理についてはあともう少しです!頑張って見ていきましょう。

外国ユーザーリスト

経済産業省が、大量破棄兵器等の開発等への関与が懸念される企業・組織を発表しています。最終的に輸出する企業や組織がこのリストに該当していないか確認する必要があります。また商社などの企業に輸出する場合でもエンドユーザーがどこなのかまで把握すべきです。もし、エンドユーザーを知っていてその企業や組織がリストに属していてテロ等に関わっていたら大変なことになります!また、外国ユーザーリストは毎年改正されるので、最新版を手に入れる必要があります。よく考えてみると、北朝鮮は貿易で規制されているのに、核開発を続けることができていますよね。どこからか材料を輸入しているわけです。

主な国
アフガニスタン 2
アラブ首長国連邦 8
イスラエル 2
イラン 224
インド 4
エジプト 1
北朝鮮 143
シリア 20
台湾 1
中国 65
パキスタン 53
香港 3
レバノン 3
合計 529

安全保障貿易管理について(平成30年6月)より)

該当する国に輸出する場合は必ず目を通してくださいね。

平成30年5月2日改正版

国際輸出管理レジーム(MECR)について

ここまでは日本における安全保障貿易管理をみてきました。日本だけではなく、世界でも安全保障貿易管理を行っています。外為法にもつながっており、時代や状況で国際的な条約が変わると日本の法律も変更されることがあります。ですから少なくとも名前は覚えておきましょう。

条約→核兵器、生物、化学兵器そのものを規制

  • 核兵器関連:NPT(Nuclear Nonproliferation Treaty )核兵器不拡散条約
  • 生物・化学兵器関連:BWC(Biological Weapons Convention)生物兵器禁止条約、CWC(Chemiacal Weapons Convention)化学兵器禁止条約)

国際輸出管理レジーム→大量破壊兵器及び通常兵器並びにそれらの開発等に用いられる技術や汎用品の輸出を管理

  • 核兵器関連:NSG(Nuclear Suppliers Group)原子力供給国グループ
  • 生物・化学兵器関連:AG(Australia Group)オーストラリアグループ
  • ミサイル関連:MTCR(Missile Technology Control Regime)ミサイル技術管理レジューム
  • 通常兵器関連:WA(The Wassenaar Arrangement )ワッセナー・アレンジメント

安全保障貿易管理について(平成30年6月)より)

違反による罰則と事例

脅す訳ではありませんが、違反をすると当然罰せらる場合があります。

規制対象となる物・技術を、許可を取らずに輸出・提供してしまうと、法律に基づき、罰せらる場合がある。

刑事罰:最大

  • 10年以下の懲役
  • 10億円以下の罰金(法人の場合)
  • 3千万円以下の罰金(個人の場合)

ただし当該違反行為の目的物の価格の5倍が上記罰金額を超える場合、当該価格の5倍以下の罰金

行政制裁:

  • 3年以内の、物の輸出・技術の提供の禁止
  • 別会社の担当役員等への就任禁止

最近の主な違反事例

  1. 平成30年1月22日(略式命令):赤外線カメラ(10項の2,4,7)を中国に無許可輸出したため。個人に対して100万円の罰金。平成30年4月24日(行政処分):3ヶ月の全貨物、全地域向け輸出禁止
  2. 平成23年3月25日(判決):パワーショベルを北朝鮮に輸出(キャッチオール違反、インフォーム無視、中国迂回)したため。代表取締役に1年6ヶ月(執行猶予3年)法人に対して罰金120万円。平成23年7月20日(行政処分):1年1ヶ月間全貨物、全地域向け輸出禁止
  3. 平成21年7月16日(判決):工作機械(2項(12))を韓国等へ輸出(測定データを改ざんし、性能を低く偽り非該当品として輸出)したため。社員ら4名に懲役1年~2年6ヶ月(執行猶予3年)、法人に対して罰金4,700万円。平成21年8月14日(行政処分):5ヶ月間の全貨物、全地域向け輸出禁止

安全保障貿易管理について(平成30年6月)より)

法律違反対策の仕方

経済産業省が出しているチェックリストを使用してチェックしてみましょう。

気をつけたいこと:

  1. メーカーが非該当と判断しているので大丈夫と鵜呑みにせずに自分でも判断することが大事です。
  2. 以前同じ物を輸出して非該当だったので今回も大丈夫と思うことはいけません。規制内容が変更された時は見直しが必要です。
  3. 本体が非該当であれば、部品も非該当と思い込むことはいけません。
  4. 自社の海外子会社との取引なら、輸出許可が必要と思い込むことはいけません。(リスト規制貨物の場合は自社関連企業かは関係なく必ず輸出許可が必要です)
  5. 貨物が非該当ならプログラムも非該当と思い込むことはいけません。(それぞれについて外非判定書が必要です)
  6. 輸入した機器の故障修理のための返送なら問題ないと思い込むことはいけません。(修理のための返送や不良品の返品でも輸出許可が必要です)
  7. 手荷物でリスト規制貨物を外国に持って行くときに輸出許可なしでやってしまうことはいけません。(輸出か持ち運びかは輸出許可に関係ありません)
  8. 社内で該非を判断できないまま輸出してしまうことはいけません。(判断ができない場合は必ずメーカーに問い合わせましょう)
  9. サンプルのため、該非判定をしないで輸出してしまうこともいけません。(サンプルでも必ず該非判定を行う必要があります)

安全保障貿易管理について(平成30年6月)より)

このほかにもたくさん気をつけなければならない点はあります。よく確認して輸出入を行いましょう!参考にした経済産業省の資料はとても役に立ちますのでこちらをよく確認してみてください。

参考文献:安全保障貿易管理ハンドブック(2017年第9版)安全保障貿易管理について(平成30年6月)

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