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公共選択論とは?リーダーが取るべき最適な多数決ルール

公共選択論とは?リーダーが取るべき最適な多数決ルール

おそらくこの記事を探して来られた方は、大学の政治系の授業の試験が近い方だと思います。私も、大学時代に苦労しましたから分かりますよ(笑)なかなかこの分野って、ネットで調べると文字ばっかりで読む気が失せますよね・・・・。そして、授業もつまらなかったり、出ていなかったり。そんな方へ、なるべく優しく役に立つように解説していければと思います!

公共選択論とは?

公共選択論とは、政治の世界を経済学を用いて、もっと知っていこうよ!というような学問分野です。政治家や官僚が、自分の私利私欲の為に行動する時があるのではないか?こういった行動を、ゲーム理論などの最近のカッコイイ理論と共に解明していく、というような学問です。ここでは、よく公共選択論で出題される問題を分かり易く説明して行きます!

人は、常に「意思決定」を行っている

こう言われると、何かカッコよくないですか?あなたの日常の中で、あなたは何気なく意思決定を行っているのです。

例えば、大学の授業を例に挙げましょう。おそらく、ここに来られている方は大学の授業にあまり積極的に参加して来られなかったのではないでしょうか?ここでのライター、ひもくみには分かりますよ~~(笑)

そんなあなたは、授業に出る代わりに友達と遊ぶ事やサークル活動に専念する事を選んだかもしれません。ただ、最近ではお小遣い欲しさの為にバイトの方が多いかな?よし、バイトにしておこう!

あなたが、バイトを選んだ時。それを選んだ事による便益を考えなければなりません。便益とは、まぁ、あなたへの利益みたいなもんですね。そして、その意思決定によって諦めなければならない別の便益、すなわち機会費用のどちらの方があなたにとって大きいのかを考えなければなりません。そこのあなた。今は当然アルバイトと言うかもしれませんね。

「だって、お金貯めてMac欲しいし。」

いや、これは私の本音でもあります。私も、Mac欲しい・・・・!!けどね、意外に大学一回分の授業料って高いんですよ。知ってましたか?

国公立 : 約2,300円

私立文系 : 約3,800円

私立理系 : 約5,300円

私立医系 : 約1万5,500円

(出典:http://www.kyoushi.jp/entries/1131

最低でも、2,300円。これって、あなたが時給1,000円のアルバイトをしていても、90分授業分の1,500円しか稼げないので、おとなしく授業を受ける方が得なような気がします。この授業を受ける方を便益と考えた場合、授業を受けなかった(バイトに行く)事が機会費用となります。これは、あなたの価値観が関わってくる問題です。機会費用自体、「あなたが得られたであろう費用や機会」という意味合いです。授業に出た場合の便益は、授業に出なかった時の機会費用とどう考えるか。そうやって、便益と機会費用を考えて行きます。

授業の便益(あなたにもたらされるであろうメリット)

  1. 授業料を無駄にしない。
  2. 授業に出る事により、試験の不合格のリスク・ヘッジ。
  3. 友達に、自分がとったノートを後に高く売りつける。

授業の機会費用(あなたが得られたであろうメリット)

  1. バイトによる、短期的利益の損失。
  2. 好きな異性と一緒に過ごせない。
  3. Macが・・・・・!

さて、ここで授業をサボってバイトに出る事を便益と考えた場合。それは、一体何なのでしょうか?何故、皆さん授業料を無駄にしてると分かっていながらバイトや遊びという便益を取ってしまうのでしょうか?理由は、様々だと思います。対照的なサイトさんが出てきたので、ここでまた貼らさせて貰いますね。

「大学の授業を1回サボると~円の損」という煽りは無視でいい理由

この方は、大学では授業をサボり、そして大学院では一回も授業をサボらずに過ごした学生さんです。そして、この方の先輩いわく、

「時間をどう使って目標を達成するかなんですよ。」この一言が、大学生に向けた一言かもしれません。つまり、授業料が勿体ないと思いながら授業に出て居眠りをするよりも、

今何が、自分にとって必要なのか?
自分にとって、大学生活における目標とは何か?
こう考えて学生生活を送る方が、効率的かもよ!という、メッセージです。もちろん、授業に出る事自体を否定する気は毛頭ありません。そして、授業に出て知識を得る事こそ、あなたにとっての学生生活での全てであれば、そこに全力で取り組むべきなのです。しかし、あなたの便益が残念ながら授業から得られないのであれば、こう考えるしかありませんね。

バイトの便益 (あなたにもたらされるであろうメリット)

  1. バイト先に、好きな異性が働いている。
  2. ちょっとした社会勉強や経験になるから。
  3. お金を貯めて、早くMacを手に入れたい・・・!

まぁ、こんな感じですかね。この便益は、人によって違ったものになってくるので。そして、私は何故か未だにMacにこだわってます(笑)

バイトの機会費用(あなたが得られたであろうメリット)

  1. 授業に出ない分の、授業料の損失。→お金の支払い義務が発生
  2. 普通に仕事なので、辛いし、しんどい・・・。
  3. 授業に出ない分の、試験に不合格する分のリスク

機会費用とは、文字通りのお金の費用だけではないのですね。あなたが大学生である場合、何が一番大切ですか?授業に出る事よりも、単位を得る事ではないのですか?バイトをしていても、あなたが単位を取れる自信があるのなら、バイトの便益を選択するでしょう。また、自信が無い方であれば、授業の便益を選択するかもしれませんね。

パレート効率って?

いきなりの専門用語です(笑)パレート効率を考える上で、もう一つ。資源資源配分についても考えなければなりません。私たちに効用(満足=便益、不満足=費用)を与えてくれる源泉が資源です。資源とは、

「希少性のあるもの」

希少性とは、何かに使えば他の事には使えない事を言います。何か、希少性という言葉だけで、とても特別な感じがしますよね。資源を用いて満足(便益)を得れば、その資源から得られたであろう別の満足(便益)を諦めなければなりません。この代償の事を機会費用と呼びます。ここで、さらに簡単にまとめると!

意思決定とは、ある資源がもたらす便益と、それによって諦めなければならない便益(機会費用)のどちらが大きいかを比較する事です。

便益 > 機会費用

となるなら、あなたは正しい選択をしている事になります。これで、資源とは何か。そして、便益と機会費用についての復習は出来ましたね。次に、資源配分についてです。効用(満足=便益、不満足=費用)を拡大するために資源を何に使うべきか、資源の使い方を考えるのが資源配分です。例えば、今日という24時間は稀少な資源ですよね。

  • 睡眠7時間
  • 仕事8時間
  • 食事2時間

これを抜いた7時間の時間を、あなたはどう過ごしますか?どうやって過ごせば、あなたの効用を最大化する事が出来ますか?TVを見て、楽しむのがあなたの効用最大化ですか?それとも、資格の為の勉強ですか?したい事が24時間を越えれば、あなたは優先順位を付けなければなりません。何かをする為に、他の何かを犠牲にしなければならないのです。

資源(時間)の使い方をこれ以上変えても、もはや効用を改善出来ない 状態に至った時、それを資源配分の効率性が達せられた状態、パレート効率(パレート最適)と呼びます。

資源(時間)の使い方を変えることで、まだ効用を改善できる余地があるとします。すると、それは資源配分が非効率的な状態であると言えますね。効用を改善する資源配分の変更をパレート改善と言います。

私的選択と公共選択について

個人の自由な選択は、私的選択です。便益や機会費用を比較して、自分の便益がより大きい方を選ぶ事が出来ます。一方、公共選択は違います。集団・社会・政治による選択(意思決定)となります。なので、個人の選択(意思決定)と異なる場合。社会のメンバーである為には、その集団の選択に従わなければなりませんね。それでは、どのように私的選択から公共選択へと移るのでしょうか?

例えば、

私的選択

  • 手作りのものを作るのが好き。
  • それを、皆に見せて褒められる喜び。

公共選択

  • 地域コミュニティーで、定期的にフリーバザーを催して楽しむ。

このように、個人で満足を得ていた事が、「公共」になる事により、大きなものへとなります。これだけ見れば、公共選択ってとても良いものに思えますよね。ですが、より大きくなれば当然メリット・デメリットも出てきます。それでは次に、その公共選択のメリット・デメリットについて見て行きましょう!

公共選択のメリット&デメリット

メリット公共選択の場合、集団で費用を共有する事が出来ますよね。なので、個人では消費・利用出来ないような公共財を共同利用する事が出来ます。そうすれば、個人では得られないような大きな満足を得る事が出来るのです。

他にも、個人では作れない公園、学校、消防、警察(治安)、美術館、運動場・・・などの施設を作り、そのサービスを受けたり。個人では解決できない問題を、公共の力により解決に導いたり。そのような恩恵があるのです。

デメリット

社会の中で意思決定を行う以上、集団の意見に従わなければなりません。なので、それが時に自分の思い通りに行かない時も、しばしばあります。また、自分で決めた事ではないので、その分満足の低下にも繋がり易いでしょう。

ここまでが、公共選択論における基本中の基本です。この私的選択と公共選択の基本的な概念を持つことは、後々重要になってきます。皆さん、基本は簡単だとは思いませんでしたか?次からは、政治的な実践の問題を出題します。

Q. 立憲段階の選択という考え方のもとで、意思決定費用と政治的外部性費用の概念を用いて、最適な多数決ルールを正当化する論拠を示しなさい。

書かせていただいた、この問題。公共選択論を勉強しているあなた。意味、分かりました?色々専門用語が並んでいて、いまいちよく分かりませんね。一つ一つ、詳しく見ていきましょう。

そもそも、立憲段階って?

私たちの国、日本やその他のほとんどの国(特に欧米)もそうなんですけど、立憲主義です。立憲主義とは、憲法に基づいて政治を行っていくよ!という意味です。そして、私たち日本人は日本国憲法に基づいて国の運営を行っています。「その法律やルールを決めていきましょう。」

という段階が、立憲段階です。それでは、意思決定プロセスを見て行きたいと思います。

立憲段階の選択(法律やルールを決定する段階)

  • 基本的な制度やルールを選択する
  • 全員一致で合意できることを期待する

立憲後段階の選択(政策決定後の方針)

  • 制度やルールが決まった後の現実の政策決定
  • 利害対立が存在 / レントシーキング活動も発生
  • 多数決ルールによって意思決定せざるを得ない

ん、レントシーキング?

レントシーキングとは、簡単に言えば、企業などが官僚などにコネを使う事です。官僚が企業の為に、彼らの道具の一つである「規制」を使います。そして、ルールを変更させ、企業側が利益を得るようにする活動の事です。

つまり、官僚の強みである法制度や政策変更により、「企業にもっと利益を与えよう」というちょっと汚い活動ですね。

そして、物事を決めるには全員一致ルール多数決ルールがあります。

【公共選択論】全員一致ルールと多数決ルール

これを見たら、全員一致ルールが少数のグループに、多数決ルールが多数のグループに適切なのが分かりますよね?分かりにくい?それでは、もう少し簡単に考えてください。

少ない人数の場合は、出来るだけ個々人の希望(私的選択)に合わせようとしますね。一方で、人数が多くなると、個々人の希望よりも出来るだけ皆が納得できる希望(公共選択)へと変わりませんか?

なぜ多数決ルールなのか?

公共選択の意思決定には、私的選択以上に費用が掛かります。そりゃ、そうですよね。個人ではなく、集団で決めるんですから。その主な費用は、以下2つ。

意思決定費用

合意に至るまでの時間や労力にかかる費用。

合意に必要な割合(過半数とか3分の2とか)が高まるほど増えます。逆に、独裁者が意思決定する場合、その費用は小さいです。全員一致で意思決定する場合には、その費用は最大になりますよね。

つまり、集団内で意見が異なるほど費用は増加します。一方、すんなり意見が一致すれば、その費用は低下するのです。

政治的外部性費用

集団の意思決定と自分の選好が一致しないことによる負の効用(不満足度)。

なので、逆に全員一致で意思決定する場合に最小となり、独裁者が決定する場合に最大となります。

つまり、集団だと意思決定を行う上で、費用や時間は掛かるけれども、その分の満足は大きい。そういう意味となります。なので、この意思決定費用と政治的外部性費用は矛盾した者同士となります。

意思決定費用 + 政治的外部性費用 = 社会的相互依存費用

この式、覚えておいて下さいねぇ~~~!この社会的相互依存費用が最小となる多数派の割合(多数決ルール)で意思決定することが最適と主張します。

つまり、意見がすんなりと決まれば決まるほど、時間もお金も節約出来ます。また、皆もその意見に似通っている部分を感じているので、満足を感じている状態です。この状態になるように多数決ルールで意思決定をする事が、最も最適だという事なのです。

そして、この意思決定において不確実性のヴェールに包まれている、という事も重要となってきます。

不確実性のヴェール

  • 将来、社会的な意思決定をする時点で、自分がどのような利害関係の中に置かれているか、分からない状態。
  • 将来、自分が多数派に入るか少数派に入るかは分からない。
  • その場合に、社会的相互依存費用が最小となる最適な多数決ルールに、全員一致で合意しうる。この選択を立憲的な選択という。

うおっ・・・・!!ここで、最初に出てきた「立憲」が出てきましたよ?!

つまり、私たちが何も利害とかを考えずに政策を意思決定する時こそ、社会的相互依存費用が最も小さいらしいのです。知らなければ知らない程、私たちは似通った意見を出し合い、すんなりと合意し得るという訳ですね。これ、私は図の方が分かり易いと思ったので、自分で描いてみました。

最適な多数決ルール

最適な多数決ルール

この不確実性のヴェールのもとでは、誰しも自分が多数派に入るか少数派に入るかが不明です。なので、最適な多数決ルールに全員で一致し得ると期待するのです。先ほどにも述べましたが、意思決定費用と政治的外部性費用は、矛盾する者同士。なので、それぞれの関数も逆に描かれています。そして、それぞれが低い状態の時がベストなので、相互依存費用を決定する際、どちらも低い状態ですよね?こんな状態を作り出すには、どの程度現実可能なのでしょうか?この不確実性のヴェールと言える状態を意図的に作り出すのって、結構不可能に近いですよね。だって、自分が少数派か多数派か、どのような利害関係に置かれているのかが分からない状態って、なかなか無いですよ!

しかし、それに近い状態が想定されることは、ある程度可能かもしれません。例えば、明治維新・石油ショック・グローバル化・円高などの社会外部からの圧力であったり、大きな自然災害などの社会全体が共通する危機的状況であったり、ゼネコン汚職、環境破壊、クーデターや戦争、戦後改革などの社会的スキャンダルへの怒りなどの状況が考えられます。

と言う事は、立憲政治における意思決定は、平和な時よりも危機的状況の方が不確実性のヴェールの作用が働き、最適な多数決を行う事が出来るかもしれない。そういうお話という事です。

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